ブログ一覧に戻る
住友ゴムが3Dプリント可能なゴム材料を開発 — 2026年事業化で広がるAMの可能性 - 3Dプリンタブログ | 3DLab
業界ニュース

住友ゴムが3Dプリント可能なゴム材料を開発 — 2026年事業化で広がるAMの可能性

3DLab
2026年3月25日
0 views

住友ゴム工業が、3Dプリンターで造形できる本格的なゴム材料を開発しました。2025年6月19日に発表されたこの新素材は、従来の「ゴムライク」樹脂とは一線を画す高い復元性と耐久性を備えています。同社は2026年中の事業化を目指しており、ロボティクスや医療など幅広い分野への展開が期待されています。

住友ゴムが開発した3Dプリント用ゴム材料とは

住友ゴム工業が開発したのは、紫外線(UV)照射により短時間で硬化する液体のゴム材料です。光造形式3Dプリンター(SLA/DLP方式)で使用でき、ゴム本来の弾性・復元性・耐久性を兼ね備えた造形物を作ることができます。

この材料の最大の特徴は、長年のタイヤ開発で培った配合技術と内部構造分析のノウハウを活用している点です。タイヤに求められる「柔軟性」「耐摩耗性」「耐久性」といった要素を、3Dプリント用の素材設計に応用しています。

同社の発表によると、70℃・22時間・25%圧縮という過酷な条件下でも圧縮永久歪みが1%以下と、非常に高い復元性を示しています。さらに2,000万回の繰り返し圧縮試験においても復元率100%を維持するという驚異的な耐久性が確認されています。

従来の「ゴムライク素材」との違い

これまでも3Dプリンターで柔軟な造形物を作ることは可能でした。TPU(熱可塑性ポリウレタン)やTPE(熱可塑性エラストマー)といった「ゴムライク」フィラメントは広く流通しています。しかし、これらはあくまで樹脂(プラスチック)ベースの素材であり、本物のゴムと比べると復元性や耐久性に限界がありました。

住友ゴムの新素材は「ゴムライク」ではなく「本物のゴム」として機能する点が画期的です。ヒステリシスロス(変形時のエネルギー損失)が小さく、バネのような優れた弾性を発揮します。長時間圧縮しても元の形に戻り、何千万回繰り返しても劣化しないという特性は、従来のゴムライク素材では実現できませんでした。

期待される応用分野

住友ゴムは、この新素材の応用先として複数の分野を挙げています。

ロボティクス分野では、ヒトの指先と同様のすべりにくさを持つロボットハンドの指部分(ソフトグリッパー)への活用が進んでいます。同社はすでに村北ロボテクスと共同で、この素材を用いたロボットハンド用ソフトグリッパーの開発を行っています。

医療分野では、ヒトの臓器に近い柔軟性と弾力性を持つ医療訓練用の臓器シミュレーションモデルの実現が期待されています。ショアA硬度がA15の超軟質ゴム材料(ベリーソフトタイプ)を用いた3次元臓器モデルも開発されています。

このほか、自動車部品スポーツ用品など、ゴムの特性が求められるあらゆる分野での活用が見込まれています。

2026年事業化と住友ゴムの成長戦略

住友ゴムは、まず医療やロボットハンド用途を中心に2026年中の事業化を目指しています。同社は2035年に事業利益の3割をタイヤ以外の事業で稼ぐという長期計画を掲げており、3Dプリンター用ゴム材料は事業多角化の柱の一つとして位置づけられています。

開発品はすでに複数の展示会で公開されています。2025年1月末に東京ビッグサイトで開催された「TCT Japan 2025」(国内最大級の3Dプリンティング&AM技術展)では日本AM協会ブースに出展し、高い注目を集めました。また、大阪・関西万博の「住友館」内「ミライのタネ」コーナーでも展示が行われています。

3Dプリント技術で「本物のゴム」が自由に造形できるようになれば、少量多品種のゴム製品製造が容易になり、試作期間の大幅な短縮やカスタム部品のオンデマンド生産が現実のものとなります。住友ゴムの挑戦は、アディティブ・マニュファクチャリング(AM)の可能性をさらに広げる一歩と言えるでしょう。

よくある質問

住友ゴムの3Dプリント用ゴム材料はどんな3Dプリンターで使えますか?

紫外線(UV)で硬化する光造形式3Dプリンター(SLA/DLP方式)に対応しています。FDM方式(フィラメント溶融積層)のプリンターでは使用できません。

従来のTPUフィラメントとどう違いますか?

TPUやTPEは樹脂ベースの「ゴムライク」素材ですが、住友ゴムの新素材は本物のゴムとしての弾性・復元性・耐久性を備えています。2,000万回の圧縮試験にも耐える耐久性は従来素材にはない特徴です。

個人でも購入できますか?

2026年3月時点では一般販売は開始されていません。住友ゴムは2026年中の事業化を目指しており、まずは医療やロボティクスなどの産業用途から展開される見込みです。

どのような製品に使われる予定ですか?

ロボットハンドのソフトグリッパー、医療訓練用の臓器シミュレーションモデル、自動車部品、スポーツ用品などが想定されています。柔軟性と耐久性が必要な幅広い用途に対応できます。

参考リンク

タグ

3Dプリンターゴム材料住友ゴム新素材アディティブマニュファクチャリング
3Dプリンター体験