
光造形3Dプリンターの後処理マスターガイド|洗浄・二次硬化・研磨・塗装まで
光造形3Dプリンターで造形したモデルは、プリントが終わっただけでは完成しません。きれいな仕上がりと十分な強度を得るには、後処理が欠かせないからです。この記事では、サポート除去から塗装まで、レジン造形物の後処理を7つのステップに分けて詳しく解説するので、初心者の方でも順番どおりに進めれば、プロ並みの仕上がりを目指せます。
ステップ1:サポート材の除去
造形が終わったら、まずビルドプレートからモデルを取り外し、サポート材を除去します。レジンが柔らかい洗浄前のほうがサポートを外しやすいので、洗浄前に除去するのが基本です。ただし、細い部分や壊れやすいパーツがある場合は、洗浄・二次硬化のあとで慎重に外す方法もあります。
ニッパーでサポートの根元を切り取り、残った跡はデザインナイフや精密ヤスリで整えましょう。力を入れすぎるとモデルが割れることがあるので、少しずつ作業するのがコツです。なお、未硬化のレジンは肌に刺激があるため、作業中は必ずニトリルグローブを着けてください。
ステップ2:洗浄(レジンの除去)
サポートを外したら、モデルの表面に残った未硬化レジンを洗い落とします。一般的には、IPA(イソプロピルアルコール)かエタノールに浸して洗いますが、水洗いレジンを使っている場合は水道水で洗えます。
洗浄方法には、超音波洗浄機を使う方法と、容器に入れて手で振り洗いする方法があります。細かいディテールの奥まで洗えるので、超音波洗浄機がおすすめです。洗浄時間は2〜5分程度が目安で、長く浸けすぎるとモデルが白化したり、ひび割れたりする原因になるので注意しましょう。
洗浄後は、しっかり自然乾燥させます。表面に水分やアルコールが残ったまま二次硬化すると、白くくすんでしまうことがあります。
ステップ3:二次硬化(ポストキュア)
二次硬化は、UV光を当ててレジンの光重合反応を完了させる工程です。プリント直後のモデルは内部まで完全には硬化していないため、二次硬化をしてはじめて本来の強度・靭性・耐熱性が得られます。
二次硬化には、405nm波長のUVライトを搭載した専用のUVキュアリングマシンを使うのが一般的です。硬化時間はレジンの種類やモデルの大きさによって変わりますが、おおむね3〜15分が目安とされています。使っているレジンのメーカーが推奨する時間を必ず確認してください。
二次硬化をしすぎると、黄変や脆化の原因になります。特に透明レジンは黄色く変色しやすいので、推奨時間を超えないようにしましょう。水中でUV硬化させる「水中硬化」には、酸素阻害を防いで表面の白化を抑える効果があるとされています。
ステップ4:研磨(サンディング)
二次硬化を終えたモデルには積層痕やサポート跡が残っていることがあるので、サンドペーパーの番手を段階的に上げながら研磨して、表面を滑らかに仕上げます。
研磨に使う番手の目安は次のとおりです。
- 400番:サポート跡や大きな段差を削る(粗研磨)
- 600〜800番:表面を均一にならす(中研磨)
- 1000〜1500番:細かい傷を消していく(仕上げ研磨)
- 2000番以上:光沢のある滑らかな面を作る(鏡面研磨)
研磨は、ウェットサンディング(水研ぎ)がおすすめです。水を使うと研磨粉が詰まりにくくなり、より均一で細かい仕上がりになります。各番手で全体をまんべんなく磨き、前の番手の傷が消えたのを確かめてから次に進みましょう。
ステップ5:透明レジンの磨き方
クリアレジン(透明レジン)で造形した場合は、通常のレジンよりさらに丁寧な研磨が必要です。傷が目立ちやすく、くすみの原因にもなるので、2000番まで研磨したあとにコンパウンドで仕上げ磨きをしましょう。
自動車用のプラスチッククリーナーや模型用コンパウンドを柔らかい布に取り、円を描くように磨きます。粗目、細目、仕上げ用の3段階で順に磨くと、透明感がぐっと増します。
それでもくすみが残る場合は、クリアラッカーやUVレジンを薄く塗ってコーティングすると効果的です。表面の細かな傷が埋まって光の拡散反射が抑えられ、ガラスのような透明感が戻ります。コーティングしたあとにUVライトで硬化させれば完成です。
ステップ6:下地処理とプライマー
塗装する場合は、研磨した表面にプライマー(サーフェイサー)を吹きます。プライマーには、次のような役割があります。
- 塗料の密着性を高める
- 微細な傷や凹凸を埋めて表面を均一にする
- 下地の色を統一し、塗料の発色を良くする
グレーのサーフェイサー(1000〜1500番相当)を2〜3回に分けて薄く吹き重ねるのが基本です。乾いたら表面を確認し、気になる部分があれば1500番程度のサンドペーパーで軽く研磨してから塗装に移りましょう。
ステップ7:塗装とトップコート
いよいよ最後の工程、塗装です。光造形のモデルは表面が滑らかなので、FDM方式に比べて塗料が乗りやすいのが特長です。
最も均一に仕上がるのはエアブラシ塗装ですが、缶スプレーや筆塗りでも十分きれいに仕上げられます。塗装のポイントは次のとおりです。
- 薄く重ね塗りする:一度に厚塗りせず、2〜3回に分けて塗り重ねる
- 乾燥時間を守る:各層の間に十分な乾燥時間を確保する
- 換気を確保する:スプレー塗装は必ず換気の良い場所で行う
塗装が完全に乾いたら、トップコート(クリアコート)を吹いて表面を保護します。つや消し・半光沢・光沢など、作品のイメージに合わせて選びましょう。トップコートには塗膜を保護するだけでなく、色合いに統一感を出す効果もあります。
よくある質問
光造形の後処理にはどのくらい時間がかかりますか?
洗浄と二次硬化だけなら30分〜1時間程度です。研磨や塗装まで行う場合は、乾燥時間も含めて半日〜1日程度を見込んでおくと、余裕を持って作業できます。
IPA以外で洗浄できますか?
エタノールや専用の洗浄液でも洗えます。水洗いレジンを使えば水道水で洗浄できるので、有機溶剤を使いたくない方におすすめです。ただし、通常のレジンを水で洗うことはできません。
二次硬化しないとどうなりますか?
未硬化のレジンが残ると、強度不足やベタつきの原因になります。未硬化レジンは肌への刺激性もあるため、安全のためにも二次硬化は必ず行うことをおすすめします。
透明レジンが黄色くなるのを防ぐには?
いちばん大事なのは、二次硬化の時間を必要最小限にすることです。レジンメーカーの推奨時間を守り、直射日光の当たらない場所で保管してください。UVカットのトップコートを塗るのも効果的です。
研磨せずに表面を滑らかにする方法はありますか?
クリアラッカーやUVレジンで表面をコーティングする方法があります。研磨ほど精密には仕上がりませんが、手軽に光沢のある表面が得られます。
参考リンク
- Guide to Post-Processing and Finishing SLA Resin 3D Prints — Formlabs
- 光造形3Dプリンターの後処理完全ガイド【7ステップ】 — SK本舗
- 光造形3Dプリンターの表面仕上げを完全ガイド — SK本舗
- Clear 3Dプリント品の透明度を向上するTIPS — Formlabs
- 光造形3Dプリンターの後処理 — i-MAKER



