
Polymaker新素材PPS-GF20登場!2026年注目のエンジニアリングフィラメント最新動向
3Dプリンターの世界では、年々使える素材の幅が広がっています。2025年7月、フィラメントメーカー大手のPolymakerが発表したFiberon PPS-GF20は、航空宇宙グレードの性能をデスクトップ3Dプリンターで実現できる画期的な素材として注目を集めています。本記事では、PPS-GF20の特徴を中心に、2025〜2026年にかけて登場したPolymakerの新素材ラインナップを詳しくご紹介します。
PPS-GF20とは?PEEKやPEIに迫る高機能フィラメント
PPS-GF20は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)をベース樹脂に、20%のガラス繊維を配合した複合素材フィラメントです。PPSは「スーパーエンジニアリングプラスチック」とも呼ばれ、自動車や電子部品、航空宇宙など過酷な環境で使用される高機能樹脂です。
これまで3Dプリンターで高耐熱・高強度の部品を造形するには、PEEKやPEI(ウルテム)といった非常に高価なフィラメントが必要でした。PPS-GF20は約66ドル(500g)という価格帯で、PEEKやPEIに近い性能を実現しています。PolymakerのプロダクトマネージャーTroy Sun氏は「PPS-GF20は、超高性能カテゴリーにおける新たなアクセシビリティを切り拓くために設計しました」とコメントしています。
PPS-GF20の主な特徴とスペック
PPS-GF20が特に優れているのは、耐熱性・難燃性・電気絶縁性の3つです。具体的なスペックを見ていきましょう。
耐熱性:荷重たわみ温度(HDT)は0.45MPa条件下で236.3℃(アニーリング後)に達します。一般的なPLAの約60℃、ABSの約100℃と比べると、桁違いの耐熱性能です。高温環境で変形しにくいため、エンジンルーム周辺やLED照明の筐体など、熱がかかる場面で活躍します。
難燃性:UL94 V0認証(1.5mm厚)を取得しており、自己消火性に優れています。電気・電子機器の筐体やコネクタなど、安全基準が厳しい用途にも対応できます。
電気絶縁性:絶縁破壊強度6.05kV/mm、誘電率2.71(1MHz)という優れた電気特性を持っています。カーボンファイバー複合材と異なり、ガラス繊維を使用しているため電気を通さず、5G基地局の構造部品やADASセンサーの筐体など、高周波電子部品まわりの用途に最適です。
その他のスペック:引張強度64MPa、曲げ強度102MPa、ヤング率4,552MPa。また耐薬品性にも優れ、酸・アルカリ・油・溶剤に耐性があります。吸水率はわずか0.11%(23℃/70%RH)と低く、湿度の影響を受けにくい素材です。
デスクトップ3Dプリンターで造形できる?印刷条件と注意点
高性能素材と聞くと「特殊な産業用プリンターが必要では?」と思われるかもしれませんが、PPS-GF20はデスクトップ機でも造形が可能です。QIDI Plus4やBambu Lab H2Dなど、高温ノズルに対応したプリンターであれば使用できます。
推奨印刷条件は以下のとおりです:
- ノズル温度:310〜350℃
- ベッド温度:80〜90℃
- パーツクーリングファン:オフ(0%)
- 最大印刷速度:250mm/s
- ノズル:焼結スチールまたはルビーノズル推奨(ガラス繊維による摩耗対策)
注意点として、ノズルの摩耗対策が重要です。ガラス繊維入りフィラメントは真鍮ノズルを急速に摩耗させるため、硬化スチールノズルやルビーノズルの使用が必須です。また、アニーリング(熱処理)を行うことで耐熱性や機械特性がさらに向上します。
Fiberon:Polymakerの高機能素材ブランド
PPS-GF20は、Polymakerが展開するFiberon(ファイベロン)ブランドの製品です。Fiberonは繊維強化フィラメントに特化したブランドラインで、製品名の数字がそのまま繊維含有率を表しています(例:GF20=ガラス繊維20%、CF10=カーボンファイバー10%)。
Fiberonシリーズには、PPS-GF20のほかにも注目素材が揃っています。Fiberon PPS-CF10はカーボンファイバー10%配合のPPSフィラメントで、HDTが250℃を超える超耐熱素材です。Fiberon PET-CF17はカーボンファイバー17%配合のPETフィラメントで、高速印刷に対応しつつ優れた剛性と寸法安定性を持っています。さらにFiberon PETG-rCF08はリサイクルカーボンファイバーを8%配合したPETGフィラメントで、環境にも配慮した設計となっています。
Polymakerの2025〜2026年注目トピック
Polymakerは高機能素材のFiberonシリーズだけでなく、一般ユーザー向けの製品でも注目の展開を見せています。
Panchroma Gradient Matte PLA:2025年11月に発表された24色のグラデーションPLAフィラメントは、1本のスプールの中で色が徐々に変化するユニークな素材です。Celestial、Galaxy、Starlight、Crystalなどのシリーズがあり、マットな質感と美しいグラデーションを楽しめます。従来のPolyTerra Gradientからリブランドされ、Panchromaブランドとして新たにラインナップが拡充されました。
Polymaker PLA Pro:従来のPolyLite PLA Proをリニューアルした新配合のPLAフィラメントです。PolyLite PLA Proは2026年末に販売終了予定で、順次新しいPolymaker PLA Proに切り替わります。
PolyCore PC-7413:ペレットベースのガラス繊維30%配合ポリカーボネート素材で、複合材料の型(モールド)製作に特化した新素材です。80〜120℃の中温域モールド用途に最適化されています。
よくある質問
PPS-GF20はどんな3Dプリンターで使えますか?
ノズル温度350℃以上に対応した3Dプリンターで使用できます。QIDI Plus4やBambu Lab H2Dなど、高温印刷対応のデスクトップ機が推奨されています。硬化スチールノズルの使用も必須です。
PPS-GF20とPEEKの違いは何ですか?
PEEKはHDT 300℃以上と最高クラスの耐熱性を持ちますが、1kgあたり数万円と非常に高価です。PPS-GF20はHDT約236℃とPEEKには及びませんが、価格が大幅に安く、多くの産業用途で十分な性能を発揮します。
PPS-GF20は一般の趣味ユーザーにも必要ですか?
フィギュアや雑貨など一般的な造形にはPLAやPETGで十分です。PPS-GF20は耐熱性・難燃性・耐薬品性が求められるエンジニアリング用途向けの素材で、産業利用やプロトタイプ製作に最適です。
Panchroma Gradient PLAの特徴は何ですか?
1スプール内で色が自然にグラデーション変化するPLAフィラメントです。マットな仕上がりで、特別な設定なしに美しい色変化のある造形物が作れます。初心者から上級者まで幅広く楽しめます。
参考リンク
- Fiberon PPS-GF20 製品ページ — Polymaker公式
- Fiberon PPS-GF20 技術仕様 — Polymaker Wiki
- Polymaker launches aerospace-grade PPS-GF20 3D printing filament — TCT Magazine
- Polymaker Challenges PEEK With Its New 66 Dollar High-Temperature Filament — All3DP
- Panchroma Gradient Matte PLA — Polymaker Shop



