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PETG vs PLA Plus どっちを選ぶ?普段使いフィラメント徹底比較【強度・耐熱・仕上がり】 - 3Dプリンタブログ | 3DLab
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PETG vs PLA Plus どっちを選ぶ?普段使いフィラメント徹底比較【強度・耐熱・仕上がり】

3DLab
2026年4月29日
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PLAに慣れてきたら、次に気になるのが「もっと丈夫なフィラメントはないの?」という疑問。その候補として真っ先に挙がるのがPETGPLA Plus(PLA+)です。どちらもPLAからのステップアップとして人気がありますが、性質はかなり異なります。この記事では、強度・耐熱性・反りやすさ・後加工のしやすさといった観点から両者を徹底比較し、用途別のおすすめを紹介します。

そもそもPETGとPLA Plusって何が違うの?

PETGはペットボトルの素材であるPET(ポリエチレンテレフタレート)にグリコールを加えて改良した樹脂です。透明性が高く、耐衝撃性と耐薬品性に優れているのが特徴です。工業用途から日用品まで幅広く使われています。

一方のPLA Plusは、通常のPLA(ポリ乳酸)に添加剤や改質材を配合して強度や靭性を向上させた改良版です。実は「PLA+」という呼称は業界統一の規格ではなく、各フィラメントメーカーが独自に名付けているものです。そのため、メーカーによって性能にばらつきがあることは知っておきましょう。

強度比較:引張強度と耐衝撃性

引張強度(引っ張りに対する強さ)では、PLA Plusが約65 MPa、PETGが約49 MPaと、PLA Plusのほうが数値上は上回ります(eSUN社フィラメントでの比較)。ただし、これは「硬さ」の指標であり、実用上の「壊れにくさ」とは異なります。

PLA Plusは硬くて剛性がある反面、限界を超えるとパキッと割れるように壊れます。一方PETGは引張強度こそ低いものの、力がかかると曲がって変形する性質があり、突然の破壊が起きにくいのが特徴です。工具のグリップや可動パーツなど、衝撃が加わる部品にはPETGが向いています。

耐衝撃性の数値で見ると、PLA Plusが約8.5 kJ/m²、PETGが約7.6 kJ/m²とされていますが、実際の使用感ではPETGのほうが「粘り強い」印象を受けることが多いです。これはPETGの延性(伸びやすさ)が高いためです。

耐熱性と屋外使用

耐熱性はPETGの明確な強みです。熱変形温度はPETGが約64〜80°C、PLA Plusが約52〜60°Cです。夏場の車内は60°Cを超えることがあるため、車内に置くスマホホルダーやサンバイザーのクリップなどにはPETGを選ぶべきです。

紫外線への耐性もPETGのほうが優れており、屋外で使うプランターや表札などにも適しています。PLA Plusは直射日光下で長期間使用すると劣化・変形するリスクがあるため、屋内用途が基本になります。

プリントのしやすさと仕上がり

印刷の手軽さではPLA Plusの圧勝です。印刷温度はPLA Plusが200〜230°C、PETGが230〜250°Cとやや高め。ベッド温度もPLA Plusは50〜60°Cで十分ですが、PETGは70〜90°Cが推奨されます。

PETGで最も悩まされるのが糸引き(ストリンギング)です。リトラクション設定を追い込んでも完全にはなくならないことが多く、後処理で糸を取り除く手間が発生します。PLA Plusはこの点で非常に扱いやすく、デフォルト設定でもきれいに仕上がります。

反り(ワーピング)については、どちらもABSほどは反りませんが、PETGのほうがやや反りやすい傾向があります。エンクロージャーなしでも印刷できますが、大きなパーツではベッドの密着に気を配る必要があります。

表面の仕上がりはPLA Plusのほうがマットで美しく、PETGは光沢があるものの層間にわずかな凹凸が出やすいです。フィギュアやディスプレイ用途ではPLA Plusが有利です。

後加工と用途別おすすめ

やすりがけはPLA Plusのほうが圧倒的にやりやすいです。硬い樹脂なので紙やすりできれいに削れます。PETGは粘りがあるため、やすりに樹脂が詰まりやすく、削りづらいのが難点です。

塗装もPLA Plusが有利です。プライマーなしでもアクリル塗料が乗りやすく、ホビー用途に適しています。PETGは表面がツルツルしているため、塗装前にサンディングやプライマー処理が必要です。

接着はPETGのほうが選択肢が広く、エポキシ系やシアノアクリレート(瞬間接着剤)がしっかり効きます。PLA Plusも瞬間接着剤で接着できますが、接合面の強度はPETGに劣ります。

比較項目PETGPLA Plus
引張強度約49 MPa約65 MPa
耐熱温度64〜80°C52〜60°C
印刷温度230〜250°C200〜230°C
ベッド温度70〜90°C50〜60°C
糸引き出やすい少ない
反りややあり少ない
やすりがけやりにくいやりやすい
屋外使用
おすすめ用途工具・屋外・機能部品模型・フィギュア・試作

よくある質問

PLA PlusはPETGの代わりになりますか?

屋内で使う軽負荷の部品であれば代替可能です。ただし、耐熱性や耐衝撃性が求められる用途ではPETGを選んだほうが安心です。車内に置くものや屋外で使うものにはPETGをおすすめします。

PETGの糸引きを減らすにはどうすればいい?

リトラクション距離を5〜7mm(ボーデン式の場合)に設定し、印刷温度を推奨範囲の下限(230°C付近)に下げるのが効果的です。移動速度を上げることでも改善する場合があります。完全になくすのは難しいので、ヒートガンで軽くあぶって糸を処理する方法もあります。

初心者にはどちらがおすすめですか?

まずはPLA Plusをおすすめします。通常のPLAとほぼ同じ設定で印刷でき、強度も向上しています。PETGは設定の追い込みが必要な場面があるため、PLAやPLA Plusに慣れてから挑戦するとスムーズです。

PLA Plusの「Plus」は規格で決まっていますか?

いいえ、「PLA Plus」や「PLA+」は業界統一の規格ではなく、各メーカーが独自に名付けたものです。添加剤の種類や配合率はメーカーごとに異なるため、同じ「PLA+」でもブランドによって性能差があります。購入時はメーカーの公表スペックを確認しましょう。

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