ブログ一覧に戻る
Prusa Core Oneレビュー|オープンソースの雄が放つ密閉型CoreXY機の実力と競合比較 - 3Dプリンタブログ | 3DLab
3Dプリンター

Prusa Core Oneレビュー|オープンソースの雄が放つ密閉型CoreXY機の実力と競合比較

3DLab
2026年6月22日
0 views

Prusa Researchが2025年初頭に出荷を開始した「CORE One」は、同社初の密閉型CoreXY方式3Dプリンターです。長年ベッドスリンガー型(i3方式)で定評を築いてきたPrusaが、ついにCoreXYに舵を切ったことで大きな注目を集めました。本記事では、造形品質・速度・静音性・マルチマテリアル対応の4軸で実力を評価し、最大のライバルであるBambu Lab P1Sとの比較も交えながら、どんなユーザーに向いているのかを解説します。

Prusa CORE Oneの基本スペック

CORE Oneは、Prusaの主力機MK4Sのコンポーネントをベースに、CoreXYキネマティクスと密閉筐体を組み合わせた新設計の機種です。レーザーカット&粉体塗装のスチールフレームにより高い剛性を確保し、内部のプリントパーツにはPrusament PC-CFを採用しています。

主要スペックは以下のとおりです。

  • 造形方式:CoreXY(デュアル固定モーター)
  • 造形サイズ:250 × 220 × 270 mm(約15リットル)
  • 最大トラベル速度:600 mm/s(Input Shaper対応)
  • 最高ノズル温度:290°C(HTホットエンド装着時は400°C対応予定)
  • 最高ベッド温度:120°C
  • チャンバー温度:最大55°C(アクティブ加温+スマート換気)
  • レイヤー高さ:0.05〜0.30 mm
  • エクストルーダー:Nextruder ダイレクトドライブ(10:1遊星ギアボックス)
  • 接続:Wi-Fi / Ethernet / USB
  • 本体重量:22.5 kg
  • 価格:キット版 約925ドル/完成品 約1,200ドル(税別)

MK4Sからのアップグレードキットも用意されており、既存ユーザーが段階的に移行できる点もPrusaらしい配慮です。

造形品質と速度のバランス

CORE Oneの造形品質は、Tom's Hardwareのレビューで4.5/5の高評価を獲得しています。特に最初のレイヤーの仕上がりが秀逸で、ロードセルセンサーによる自動キャリブレーションとPEIスプリングスチールシートの組み合わせが安定した定着を実現しています。

プリント速度については、CoreXY化によりMK4S比で約20%の高速化を達成したとされています。ただし、最大トラベル速度600 mm/sはあくまでトラベル(非印刷移動)の値であり、実際の印刷速度は素材や設定により異なります。Prusaの設計思想として「速度よりも品質の一貫性」を優先する傾向があり、工場プリセットではやや控えめな速度設定になっています。

高流量CHT(Core Heating Technology)ノズルの標準搭載により、ノズル内での溶融効率が高く、レイヤー高さ0.3mmでの高速造形でも安定した吐出量を確保しています。200種類以上の素材プロファイルがPrusaSlicerに収録されており、PLA・PETG・TPUはもちろん、ABS・ASA・PC・PA(ナイロン)といったエンジニアリング素材にも対応します。

静音性とユーザー体験

CORE Oneの大きな特長のひとつが静音性です。動作時の騒音レベルは平均約48dBと報告されており、これは静かなオフィスや図書館と同程度の音量です。0.9°ステッピングモーターとTrinamic 2130ドライバーの組み合わせがVFA(Vertical Fine Artifacts)を抑制し、滑らかな動作に貢献しています。

ユーザーインターフェースは3.5インチのカラータッチスクリーンを搭載。セットアップから初回印刷まで約10分で完了するとPrusaは謳っています。オフライン環境でも基本的な印刷操作が可能で、クラウド接続を必須としない点はプライバシー意識の高いユーザーには安心材料でしょう。

また、密閉筐体によりABSやASAの印刷時に発生する臭いや微粒子を軽減できます。オプションのHEPAフィルターを追加すれば、リビングや子ども部屋での使用もより安心です。

マルチマテリアルと拡張性

CORE Oneは、Prusaのマルチマテリアルユニット「MMU3」に対応しており、最大5色の同時印刷が可能です。さらに、今後リリース予定の「INDX Toolchanger」によるパッシブ式ツールチェンジシステムでは最大8素材への対応が計画されています。

ノズル交換はツールレスで行え、0.25〜0.8mmの各サイズに素早く切り替えできます。360度タービン冷却システムにより、ブリッジやオーバーハングの品質も高いレベルを維持しています。

オープンソースのファームウェアとPrusaSlicerの組み合わせにより、上級者は細かいパラメータチューニングが可能です。サードパーティ製フィラメントも自由に使用でき、素材の選択肢に制限がない点は、Prusaエコシステムの大きな強みです。

Bambu Lab P1Sとの比較

CORE Oneの最大の競合機種はBambu Lab P1Sです。2026年2月の価格改定後、P1SはAMS付きで549ドルまで値下がりしており、価格面では大きな差があります。両機のスペックを比較してみましょう。

項目Prusa CORE OneBambu Lab P1S
価格(2026年6月時点)キット 約925ドル/完成品 約1,200ドル単体 約449ドル/AMS付 約549ドル
造形サイズ250 × 220 × 270 mm256 × 256 × 256 mm
最大速度600 mm/s(トラベル)500 mm/s
チャンバー加温あり(最大55°C)なし(密閉のみ)
マルチマテリアルMMU3(5色)AMS(4色、最大16色)
騒音レベル約48dB約50dB
オープンソースはい(ファームウェア・スライサー)いいえ
オフライン使用完全対応初回セットアップ時にネット必要

CORE Oneが優れる点は、アクティブチャンバー加温によるエンジニアリング素材の安定性、オープンソースによるカスタマイズ性、修理のしやすさ(接着・溶接箇所なし、ドライバー1本で分解可能)、そしてオフライン完全対応です。

P1Sが優れる点は、圧倒的なコストパフォーマンス、AMS Liteによる最大16色対応、そして箱出し即戦力のセットアップ簡便さです。

「価格を抑えてすぐに高速印刷を始めたい」ならP1S、「オープンソースの理念に共感し、長期的な拡張性と修理性を重視する」ならCORE Oneが適しています。エンジニアリング素材を多用する方には、チャンバー加温のあるCORE Oneが明確に有利です。

よくある質問

Prusa CORE OneはMK4Sからアップグレードできますか?

はい、MK4Sからの変換キットが2025年3月より販売されています。既存のMK4Sコンポーネントを活かしながら、CoreXY筐体にアップグレードできる設計です。

CORE Oneでサードパーティ製フィラメントは使えますか?

使えます。オープンソースのPrusaSlicerで自由に素材プロファイルを作成・編集でき、1.75mm径のフィラメントであればメーカーを問わず利用可能です。

CORE Oneの騒音レベルはどのくらいですか?

動作時の平均騒音は約48dBと報告されており、同クラスのCoreXY機の中ではかなり静かです。深夜の運用でも気になりにくいレベルです。

密閉筐体のままPLAを印刷できますか?

はい、スマート換気システムにより、密閉状態でもPLAやPETGを安定して印刷できます。高温を嫌う素材では自動的に排気が行われます。

Bambu Lab P1Sと比べて値段が高いのはなぜですか?

CORE Oneはアクティブチャンバー加温、オープンソースファームウェア、EU・米国での製造、長期的な修理サポートを提供しています。部品単位での交換が可能な設計思想と、10年以上にわたるPrusaの継続的サポート実績が価格に反映されています。

参考リンク

タグ

PrusaCoreXYCORE OneBambu Lab P1S3Dプリンター比較
3Dプリンター体験