
PETG・ABS・TPUフィラメント比較ガイド|PLA卒業後に選ぶべき素材とおすすめ製品
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PLAフィラメントでの3Dプリントに慣れてくると、次に気になるのがPETG・ABS・TPUの3素材ではないでしょうか。「屋外で使える部品を作りたい」「もっと丈夫なケースが欲しい」「柔らかいパーツを印刷したい」など、目的によって合う素材は変わります。
この記事では、PLAを卒業した中級者向けに、PETG・ABS・TPUそれぞれの特性・印刷条件・向いている用途を比較表つきで整理しました。Amazonで評価の高いおすすめ製品も素材ごとに紹介するので、フィラメント選びの参考にしてください。
PETG・ABS・TPUの基本特性を理解する
まずは3素材の基本的な違いを押さえましょう。
PETG(ポリエチレンテレフタレートグリコール)は、PLAとABSの中間の性質を持つ素材です。PLAより強度と耐熱性が高く、ABSより反りが少なくて印刷しやすいのが特徴です。ペットボトルと同じPET系樹脂をもとに改良されていて、透明度の高いカラーも選べます。耐熱温度は約70〜80℃で、ノズル温度220〜250℃、ベッド温度70〜80℃で印刷します。
ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)は、レゴブロックや家電の筐体にも使われている工業用プラスチックです。耐熱温度は約90〜100℃と3素材の中で最も高く、衝撃にも強い素材です。ただし印刷時の反り(ワーピング)が大きく、エンクロージャー(囲い)がないと安定しにくいことと、加熱すると独特のにおいが出るので換気が必要なことには注意してください。ノズル温度230〜260℃、ベッド温度90〜110℃が目安です。
TPU(サーモプラスチックポリウレタン)は、ゴムのような弾力がある柔軟フィラメントです。硬さの指標である「ショアA」の値が95A前後の製品が一般的で、衝撃吸収性と耐摩耗性に優れています。スマホケースや靴のインソール、ドローンのバンパーなど、柔軟性が必要なパーツに向いています。ノズル温度210〜230℃、ベッド温度40〜60℃で、印刷速度を20〜30mm/sに落とすのがうまく印刷するコツです。
素材特性の比較表
PLAを基準にした各素材の特性を、次の表にまとめました。
| 比較項目 | PETG | ABS | TPU |
|---|---|---|---|
| 耐熱温度 | 約70〜80℃ | 約90〜100℃ | 約60〜70℃ |
| ノズル温度 | 220〜250℃ | 230〜260℃ | 210〜230℃ |
| ベッド温度 | 70〜80℃ | 90〜110℃ | 40〜60℃ |
| 強度(引張) | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
| 柔軟性 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
| 耐衝撃性 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 反りにくさ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
| 印刷難易度 | やや簡単 | やや難しい | 難しい |
| エンクロージャー | 不要 | 推奨 | 不要 |
| におい | ほぼなし | あり(要換気) | ほぼなし |
| 代表的な用途 | 屋外部品・容器・治具 | 筐体・機構部品・耐熱パーツ | ケース・ベルト・緩衝材 |
用途別・素材選定フローチャート
「結局どれを選べばいいの?」という方のために、用途から素材を絞り込む考え方を整理します。
耐熱性が必要(車内・熱源付近で使う)→ ABS
真夏の車内は80℃を超えることもあるので、耐熱温度90〜100℃のABSが最適です。エンクロージャー付きのプリンターを持っているなら、まず検討してください。
屋外で使う部品・水回りのパーツ → PETG
PETGは耐候性と耐水性に優れ、紫外線による劣化もPLAよりずっと少ない素材です。屋外の看板の固定具やガーデニング用のクリップなどに向いています。
柔らかさ・衝撃吸収が欲しい → TPU
スマホケース、カメラ保護カバー、ドローンのランディングパッドなど、「落としても割れない」「曲げて使う」パーツならTPU一択です。
PLAからのステップアップで迷っている → まずPETG
PETGは印刷の難しさがPLAに近く、強度と耐熱性はワンランク上がります。最初に試す素材としてバランスの良い選択です。
おすすめPETGフィラメント
ELEGOO Rapid PETG フィラメント 1.75mm(1kg)
ELEGOO(エレグー)は光造形プリンターでも定評のあるメーカーで、FDM用フィラメントの品質も高く評価されています。このRapid PETGは最大600mm/sの高速印刷に対応し、寸法精度も±0.02mmと安定しています。PLAのような扱いやすさとABSに並ぶ強度を兼ね備えていて、PETGデビューに最適な1本です。
良い点:高速印刷対応、糸引きが少ない、価格が手頃
気をつけたい点:カラーバリエーションがPLAほど多くない
OVERTURE PETG フィラメント 1.75mm(1kg)
OVERTUREはフィラメント専業ブランドとして世界的に人気があり、PETGの品質にも定評があります。寸法精度は±0.02mmで、スプールは環境に配慮した段ボール製です。透明(クリア)カラーも選べるので、ライトカバーや装飾パーツの造形にも使えます。
良い点:安定した品質、カラーが豊富、エコスプール
気をつけたい点:高速印刷向けのチューニングは別途必要
おすすめABSフィラメント
TINMORRY ABS Pro フィラメント 1.75mm(1kg)
TINMORRYのABS Proは、通常のABSより反りを抑えた改良版です。耐熱性と耐久性に優れ、Bambu Lab X1Cなどエンクロージャー付きのプリンターと相性が良いと評価されています。寸法精度は±0.03mmで、機構部品や筐体の造形に向いています。
良い点:反りが通常ABSより少ない、耐熱性が高い、仕上がりがきれい
気をつけたい点:エンクロージャーなしでは反りが出やすい、換気は必要
eSUN ABS+ フィラメント 1.75mm(1kg)
eSUNは3Dプリンター用フィラメントの老舗ブランドで、ABS+は通常のABSより靭性(粘り強さ)を高めた改良グレードです。寸法精度は±0.05mmで、幅広いFDMプリンターで使えます。コストパフォーマンスが高いので、ABSを試してみたい方の入門用におすすめです。
良い点:価格が手頃、靭性が高い、カラー展開が豊富
気をつけたい点:精度はやや粗め、高速印刷時は設定の調整が必要
おすすめTPUフィラメント
TINMORRY TPU フィラメント 95A 1.75mm(1kg)
TINMORRYのTPU 95Aは、Amazon's Choiceにも選ばれている人気製品です。ベッドによく定着して反りが出にくく、TPU初心者でも扱いやすいと評判です。耐摩耗性・耐薬品性・耐UV性に優れているので、屋外パーツにも使えます。
良い点:定着性が良い、反りにくい、Amazon's Choice選出の安心感
気をつけたい点:印刷速度は20〜30mm/sに抑える必要あり
eSUN TPU 95A フィラメント 1.75mm(1kg)
eSUNのTPU 95Aは柔軟性と耐久性のバランスが良く、ダイレクトドライブ式とボーデン式のどちらのプリンターでも使えるフィラメントとして評価されています。ショア硬度は95Aで、スマホケースやインソールなど日常使いのパーツに向いています。
良い点:柔軟性と強度のバランスが良い、幅広いプリンターに対応
気をつけたい点:ボーデン式では印刷速度をさらに下げる必要あり
おすすめ製品 価格・スペック比較表(2026年6月時点)
| 商品名 | 素材 | 参考価格帯 | 寸法精度 | こんな人に |
|---|---|---|---|---|
| ELEGOO Rapid PETG | PETG | ¥1,700〜2,200 | ±0.02mm | 高速印刷でPETGデビューしたい方 |
| OVERTURE PETG | PETG | ¥2,000〜2,500 | ±0.02mm | 安定品質・透明カラーを使いたい方 |
| TINMORRY ABS Pro | ABS | ¥2,000〜2,500 | ±0.03mm | エンクロージャー付きで耐熱部品を作りたい方 |
| eSUN ABS+ | ABS | ¥1,800〜2,300 | ±0.05mm | コスパ重視でABSを試したい方 |
| TINMORRY TPU 95A | TPU | ¥2,500〜3,000 | — | TPU初心者・失敗を減らしたい方 |
| eSUN TPU 95A | TPU | ¥2,800〜3,500 | ±0.05mm | 多様なプリンターで柔軟パーツを作りたい方 |
※ 価格はAmazon.co.jpでの2026年6月時点の参考価格です。セール等により変動します。
印刷成功のコツ:素材別ポイント
PETG印刷のコツ
- ノズルとベッドの距離をPLAよりわずかに広めにすると、定着が安定します
- 糸引き(ストリンギング)が気になるときは、リトラクション距離を1〜2mm増やしてみてください
- 冷却ファンは50〜70%程度に抑えると、層と層がよく密着します
ABS印刷のコツ
- いちばん大事なのは、エンクロージャーで庫内温度を安定させることです
- ベッドにケープ(ヘアスプレー)やPEIシートを使うと、定着が良くなります
- 窓を開けるか換気扇を回して、必ず換気しながら印刷してください
TPU印刷のコツ
- 印刷速度を20〜30mm/sまで落とすと、成功率が上がります
- ダイレクトドライブ式エクストルーダーのプリンターのほうが圧倒的に有利です
- TPUは湿気を吸いやすいので、開封後はドライボックスで保管しましょう
よくある質問
PETGとABSはどちらが強いですか?
引張強度はABSがやや上ですが、PETGは耐衝撃性と層間の密着に優れています。用途しだいですが、「落として割れにくい」のはPETG、「高温環境で変形しにくい」のはABSです。
エンクロージャーなしでABSを印刷できますか?
小さなパーツならうまくいくこともありますが、反りや層間剥離のリスクが高くなります。安定した品質が欲しいなら、エンクロージャーの導入を強くおすすめします。エンクロージャーがないなら、まずPETGから試すのが無難です。
TPUはボーデン式のプリンターでも印刷できますか?
印刷はできます。ただ、チューブの中でフィラメントが座屈(折れ曲がり)しやすいので、印刷速度を15〜20mm/sまで落とし、リトラクションをオフにするか最小限にしてください。ダイレクトドライブ式と比べると難易度は上がります。
フィラメントの保管方法で気をつけることは?
PETG・ABS・TPUは、どれもPLAより湿気を吸いやすい素材です。開封後は乾燥剤入りの密閉容器やフィラメントドライボックスで保管してください。特にTPUは湿気による品質の低下が目立ち、湿気を含むと印刷中に気泡ができたりポッピング音が出たりします。
PLAの次に最初に試すなら、どの素材がおすすめですか?
特定の用途がなければ、まずPETGをおすすめします。PLAに近い印刷設定で扱えて、強度と耐熱性はワンランク上がります。「PLAでは物足りないけど、ABSは難しそう」という方にぴったりの素材です。
参考リンク
- PLA vs ABS vs PETG 比較ガイド【フィラメント選び】 — SK本舗
- 失敗しないフィラメント選び|PLA・PETG・ABS・TPUの違いを用途別に整理した — RyogDesk
- 3DプリンターのPETGフィラメント完全ガイド — i-Maker
- 3Dプリンター用TPUフィラメントの特性・販売先・価格を解説 — ホッティーポリマー



