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金属3Dプリンターが日本のものづくりを変える — 量産活用の最前線2026 - 3Dプリンタブログ | 3DLab
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金属3Dプリンターが日本のものづくりを変える — 量産活用の最前線2026

3DLab
2026年3月7日
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金属3Dプリンターが、いま日本の製造業に「静かな革命」を起こしつつあります。かつては試作や少量生産に限られていたこの技術が、2025年以降、量産品の製造にまで活用の幅を広げています。日本経済新聞が2025年11月に「金属3Dプリンター、ブーム再来の兆し」と報じたことも記憶に新しいところです。

本記事では、自動車・航空宇宙・医療の3分野における国内導入事例を紹介しながら、コスト低下によって中小企業にも手が届きつつある現状をレポートします。

金属3Dプリンターとは? — 従来工法との違い

金属3Dプリンター(金属AM=アディティブマニュファクチャリング)とは、金属の粉末やワイヤを材料にして、3Dデータから直接金属部品を造形する製造技術です。従来の切削加工が「塊から削り出す」のに対し、金属AMは「必要な箇所だけ積み上げる」ため、材料のムダが少なく、複雑な内部構造を持つ部品も一体成形できるのが大きな特長です。

主な造形方式には、金属粉末をレーザーで焼結するPBF方式(Powder Bed Fusion)、金属粉末やワイヤをノズルから供給しながら溶融するDED方式(Directed Energy Deposition)、金属粉末にバインダー(接着剤)を噴射して固めるバインダージェット方式などがあります。それぞれ得意な用途やコスト帯が異なり、目的に応じた使い分けが進んでいます。

自動車分野 — ホンダのF1パワーユニット部品に見る実力

自動車業界で金属3Dプリンターの活用をリードしているのがホンダです。2026年2月27日、本田技術研究所は和光研究所の施設見学会で、金属AM設備を報道陣に公開しました。

注目は、F1パワーユニットへの金属AM技術の適用です。ピストンは従来のアルミ鍛造から鉄に材料を変更し、金属AMならではの形状最適化によって従来品より軽量化を実現しています。タービンハウジングには耐熱性に優れたニッケル基合金「インコネル」を使用し、従来の製造技術では不可能だった複雑・薄肉形状への仕様変更にも素早く対応できるようになりました。

金属AMを使うことで製作期間の短縮とコスト削減を両立できる点が、レース開発のようにスピードが求められる現場で特に高く評価されています。今後は量産車への技術フィードバックにも期待が高まっています。

航空宇宙分野 — ニコンの新拠点とH3ロケットへの適用

航空宇宙分野は、金属3Dプリンターがいち早く実用化された領域です。軽量化と高い耐久性の両立が求められるこの分野では、金属AMの「設計の自由度」が大きな強みとなります。

2025年2月、ニコンは埼玉県行田市に「Nikon AM Technology Center Japan」を開設しました。業界最先端の大型L-PBF方式プリンター「NXG XII 600」やニコン独自の高精度DED方式「Lasermeister LM300A」を備え、アジアの航空・宇宙関連企業に向けて試作品の生産や技術開発のサービスを提供しています。

一方、三菱重工がJAXAと連携して開発を進めるH3ロケットのLE-9エンジンでは、12コンポーネント・17部品に金属AM技術を適用しています。試作段階を経て量産に入っており、国産ロケットの信頼性とコスト競争力の向上に金属3Dプリンターが貢献しています。

2024年10月には、三菱重工業がマルチレーザーSLM技術を活用した先進的な金属AMシステムを発表し、造形速度の向上と航空宇宙グレードの複雑形状の実現を目指す取り組みも進んでいます。

医療分野 — 患者一人ひとりに合わせたインプラント

医療分野では、患者ごとにカスタマイズされた金属インプラントの製造に金属3Dプリンターが活用されています。金属加工企業の金属技研は、医療機器製造販売企業アムテックと提携し、患者個人のCTスキャンデータを基に精緻で複雑な形状のインプラントを製作する取り組みを進めています。

アムテックは脊椎用スクリューなどのインプラントで20年以上の実績を持ち、金属3Dプリンターによる造形には高度なスキルと厳密な品質管理が求められます。3Dプリンターの利点は、患者ごとの個別設計でありながら複数の製品を同時に造形でき、さらに真空熱処理などの後工程まで社内で一貫処理できる点です。

整形外科用3Dプリンティング機器の世界市場は2025年の約22億ドルから2026年には約25億ドル規模に成長すると見込まれており、日本でも医療分野への導入が加速しています。

コスト低下で中小企業にもチャンス到来

金属3Dプリンターはこれまで数千万〜数億円の導入コストがネックとなり、大企業中心の技術でした。しかし近年、ワイヤ方式の金属3Dプリンターが登場し、従来の粉末方式と比較して材料費・本体価格の両面で大幅にコストが抑えられるようになっています。

また、バインダージェット方式はコストを抑えやすい造形方式として注目されており、小ロット生産や低コスト金属の造形に適しています。FarsoonやXact Metalなどの海外メーカーが中小企業向けにコスト効果の高いソリューションを提供しており、国内でも導入の敷居が下がりつつあります。

日本政府も金属3Dプリンターの普及を後押ししています。経済産業省は2023年から金属AMの品質保証・認証基準の確立に向けた取り組みを開始しており、2025年には有識者検討会を立ち上げて普及拡大に向けた施策を議論しています。品質保証の枠組みが整えば、日本の高い品質基準を満たしながら金属AMを導入するハードルがさらに下がると期待されています。

金属3Dプリンターの世界市場は2025年の約117億ドルから2026年には約148億ドルへと成長が見込まれ、年平均成長率は26%に達するとされています。日本の3Dプリンティング市場も2025年の約4.3億ドルから2034年には約68億ドルへの急成長が予測されており、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の切り札として注目度が高まっています。

よくある質問

金属3Dプリンターで作った部品は強度的に大丈夫ですか?

金属AMで製造された部品は、適切な後処理(熱処理・HIP処理など)を施すことで、従来の鋳造・鍛造品と同等以上の機械的特性を得られます。実際にF1エンジン部品やロケットエンジン部品にも採用されており、信頼性は実証済みです。

金属3Dプリンターの導入にはどのくらいの費用がかかりますか?

方式や造形サイズにより大きく異なりますが、PBF方式で数千万〜数億円、ワイヤ方式やバインダージェット方式では数百万〜数千万円程度のモデルも登場しています。まずは外部の受託造形サービスを利用して試す方法もおすすめです。

中小企業でも金属3Dプリンターを導入できますか?

近年はワイヤ方式などコストを抑えた機種が増えており、中小企業でも導入しやすくなっています。また、ニコンのような大手メーカーが受託造形サービスを提供しているため、自社で装置を持たなくても金属AMのメリットを活用できます。

日本と海外で金属3Dプリンターの普及度に差はありますか?

日本は品質基準の高さから慎重に導入が進んできましたが、経済産業省による品質保証基準の整備が進み、2025年以降は導入ペースが加速しています。欧米ではすでに航空宇宙・医療分野で量産レベルの活用が定着しており、日本も急速にキャッチアップしている段階です。

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