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HP MJF 1200発表 — 産業用3Dプリンターの小型化が中小企業のものづくりを変える - 3Dプリンタブログ | 3DLab
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HP MJF 1200発表 — 産業用3Dプリンターの小型化が中小企業のものづくりを変える

3DLab
2026年6月25日
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2026年4月14日、HPはアメリカ・ボストンで開催された3Dプリンティング業界最大級の展示会「RAPID+TCT 2026」で、新型のコンパクトMJFプリンター「HP Multi Jet Fusion(MJF)1200」を発表しました。価格は6万ドル(約900万円)を下回り、これまで大企業向けだった産業用の粉末焼結3Dプリンターが、中小企業や研究機関にも手の届くものになりつつあります。

この記事では、MJF 1200のスペックと特長、同時に発表されたJet Fusion 5600シリーズのアップデート、そして産業用3Dプリンターの小型化が中小製造業にどんな影響を与えるかを解説します。

HP MJF 1200とは? — 産業グレードを手のひらサイズに

HP Multi Jet Fusion(MJF)は、HPが2016年に発表した粉末床溶融結合方式の3Dプリンティング技術です。ナイロン(PA 12)などの粉末材料に「フュージングエージェント」と呼ばれる液体を噴射し、赤外線で焼結して、射出成形に迫る強度と精度の部品を造形できます。

従来のMJFプリンター(Jet Fusion 5200/5600シリーズ)は、造形品質こそ業界トップクラスですが、本体サイズが大きく、価格も数千万円規模でした。中小企業が導入するにはハードルが高かったのです。

今回発表されたMJF 1200は、同じ中核技術をコンパクトな筐体に収めたエントリーモデルです。ビルドボリューム(造形可能サイズ)は320×165×230mm・容量12リットル。フルビルドでも12時間以内に造形が終わり、粉末の再利用率は最大80%です。日常的なプロトタイピングから小ロット生産まで、幅広い用途に使えます。

スペックと価格 — 6万ドル以下の産業用MJF

MJF 1200の主なスペックは次のとおりです。

項目仕様
造形方式Multi Jet Fusion(MJF)
ビルドボリューム320 × 165 × 230 mm(12リットル)
フルビルド造形時間12時間以内(PA 12 スタンダードモード)
対応材料HP 3D High Reusability PA 12
粉末再利用率最大80%
電源要件200〜240V / 50・60Hz / 2×16A
価格6万ドル(約900万円)以下
出荷開始2027年初頭予定

パッケージには、プリンター本体のほか、マテリアルマネジメントシステム(粉末の自動混合・供給装置)、ナチュラルクーリングユニット(冷却装置)、2つのマテリアルタンク、そしてMaterialise社のMagics Print for HPソフトウェアが同梱されます。ネスティング(配置の最適化)やパーツの向き設定、ビルドレイアウトなど、造形準備に必要なツールが初日から揃います。

HPのSVP兼ゼネラルマネージャーであるAlex Moñino氏は「産業グレードの性能を、アイデアが生まれる場所に近づける。部品あたりのコストを下げ、ワークフローを簡素化することで、より多くのお客様がアディティブ・マニュファクチャリングを導入しやすくなる」とコメントしています。

Jet Fusion 5600のアップデート — デュアルトーンと生産性向上

MJF 1200と同時に、既存の上位機種であるJet Fusion 5600シリーズでも、注目したいアップデートが発表されました。

MJF デュアルトーン印刷

HPのMJF技術は、複数の「エージェント」(液体薬剤)を使い分ける仕組みです。このエージェントの仕組みを使い、ホワイトとグレーの2色トーンで造形できる新機能が追加されます。部品の表面にテクスチャ、QRコード、マーキング、ラベルなどを直接プリントでき、後加工の手間を減らせます。

最初の対応機種はJet Fusion 5600で、2026年後半に提供開始予定です。

ハイプロダクティビティモード

Jet Fusion 5600シリーズに新しく加わる印刷モードで、出力量が従来より20%増えます。大量生産を行う現場で、全体の処理量を引き上げられると期待されています。

新材料:PA 12 ガラスビーズ

対応材料に「HP 3D High Reusability PA 12 Glass Beads」が新たに加わります。ガラスビーズを配合したナイロンで、高い剛性と寸法安定性を低コストで得られます。自動車部品や治具など、強度と精度が求められる用途に向いています。

中小企業への影響 — 産業用3Dプリンターが「手の届く設備」に

MJF 1200の登場は、単なる新製品の発表にとどまらず、産業用3Dプリンターの市場構造そのものを変える可能性があります。

これまで、MJFレベルの造形品質を求める中小企業は、外部の3Dプリントサービスに発注するのが一般的でした。しかし外注には「リードタイムがかかる」「設計の機密情報を外に出す必要がある」「小ロットだと割高になる」といった課題があります。

MJF 1200は、こうした課題を解決する現実的な選択肢になります。

  • 設計検証の内製化:試作を社内で回せるため、開発サイクルを短くできる
  • 機密性の確保:データを外に出さずに造形できる
  • 小ロット生産:治具・工具・カスタム部品を必要な時に必要な数だけ作れる
  • コスト削減:粉末再利用率80%により、材料のランニングコストを抑えられる

先行テストを行ったAnima Design社のEric Paris氏は「コンパクトなフォーマットで産業グレードの部品を造形でき、既存のワークフローを変えることなく設計検証ができる」と評価しています。

HPのアディティブ・マニュファクチャリング戦略と今後の展望

2026年は、HPがアディティブ・マニュファクチャリング(AM)に参入してちょうど10年目の節目です。HPはMJF技術を中心に、ポリマー(樹脂)からメタル(金属)まで幅広い造形ソリューションを展開してきました。

今回のRAPID+TCTでは、MJF 1200のほかにも、Metal Jet S100プラットフォームで銅やニッケル基超合金(M247LC)、超硬合金(タングステンカーバイド・コバルト)の材料認定が発表されました。金属3Dプリンティングの分野でも、扱える材料が着実に増えています。

また、「HP Industrial Filament 3D Printer 600 HT(高温対応)」の米国・カナダでの一般販売も始まりました。航空宇宙や医療、自動車分野で高温材料を使いたいという需要に応える製品です。

MJF 1200が2027年初頭に正式出荷されれば、これまで「産業用は高すぎる」と諦めていた中小企業やスタートアップ、教育機関も、MJF技術を導入しやすくなります。FDM方式のデスクトップ機とは一線を画す造形品質を、より身近な価格で手にできる時代が近づいています。

よくある質問

HP MJF 1200はいつ発売されますか?

2026年4月のRAPID+TCTで発表され、正式な出荷開始は2027年初頭の予定です。価格は6万ドル(約900万円)以下とされています。

MJF 1200とFDM方式の3Dプリンターは何が違いますか?

FDM方式はフィラメント(樹脂の糸)を溶かして積層します。一方、MJF方式は粉末材料に液体エージェントを噴射し、赤外線で焼結します。部品の強度・精度・表面品質はMJFのほうが優れていて、サポート材なしで複雑な形状を造形できます。

MJF 1200で使える材料は何ですか?

発表時点で対応しているのはHP 3D High Reusability PA 12(ナイロン12)です。粉末の再利用率は最大80%で、材料コストを抑えて運用できます。

デュアルトーン印刷とは何ですか?

Jet Fusion 5600シリーズ向けに発表された新機能で、ホワイトとグレーの2色を使い分けて造形できます。部品にQRコードやマーキングを直接印刷できるので、後加工の工数を減らせます。提供は2026年後半の予定です。

中小企業がMJF 1200を導入するメリットは?

試作の内製化による開発サイクルの短縮、設計データの機密保持、小ロット部品のオンデマンド生産、粉末再利用による低いランニングコストなどが挙げられます。外注と比べて、リードタイムとコストの両面でメリットがあります。

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