
2026年注目のエコ素材 — リサイクルPETやバイオPLAなど環境にやさしい3Dプリント用フィラメント最新ガイド
3Dプリンターの世界でも「サステナブル」がキーワードになりつつあります。PETボトルや産業廃棄物をリサイクルしたフィラメント、植物由来のバイオPLA、さらには海洋プラスチックから作った素材まで、環境にやさしい3Dプリント用フィラメントが次々に登場中です。この記事では、2026年に注目したいエコ素材フィラメントの特徴・使い心地・入手方法を比較します。
なぜ今「エコ素材フィラメント」が注目されているのか
3Dプリンティングでは、試作や造形の過程でどうしてもプラスチック廃棄物が出ます。サポート材の除去や失敗プリントなど、素材のロスは避けられません。この問題に対応するため、リサイクル素材を使ったフィラメントの開発が急速に進んでいます。
2025年後半からは、再生カーボンファイバーを配合したPETG系フィラメントや、100%生分解性のバイオベース素材など、より高機能なエコフィラメントが市場に出てきました。環境意識が高まるにつれて、「エコだから品質が劣る」というイメージは過去のものになりつつあります。
リサイクルPETフィラメント — ペットボトルが造形素材に
リサイクルPETフィラメントは、使用済みペットボトルや産業廃棄物のPET素材を原料に作られるフィラメントです。代表的な製品を見てみましょう。
BASF Ultrafuse rPET
化学大手BASFが手がけるリサイクルPETフィラメントです。ペットボトル由来の産業廃棄物から作られ、高い強度と紫外線耐性を持っています。透明感のあるブルーの色味が特徴で、造形品質はバージンPETに引けを取りません。造形温度は225〜245℃程度、ヒートベッドは65〜85℃が推奨とされています。
FormFutura ReForm rPET
オランダのFormFuturaが製造する、リサイクルPETGタイプのフィラメントです。ペットボトル製造業者の産業廃棄物を原料にして、高品質なフィラメントに再生しています。PETGベースなので反りが少なく、扱いやすいのが魅力です。
B-Pet(Bottle PET Filament)
消費者が使い終えたPETボトルを100%原料にしたフィラメントで、バージンPETと同等の物性を持ちながら、コストは約70%低いとされています。ペットボトルを選別・洗浄し、解重合・再重合の工程を経て高品質なフィラメントに作り変えます。
バイオPLA・生分解性フィラメント — 植物由来で地球にやさしい
PLA(ポリ乳酸)はトウモロコシやサトウキビなどの植物資源を原料とするバイオプラスチックで、適切な条件下では微生物によって分解される生分解性の素材です。すでに3Dプリンターでよく使われる素材ですが、さらに環境に配慮した製品が増えています。
Polymaker PolyTerra PLA
Polymakerが開発した環境配慮型PLAフィラメントです。バイオベースの新素材「FBC(Fully Bio Compound)」を採用し、高品質なIngeo PLAに天然由来の成分を配合しています。スプールはリサイクル段ボール製で、ラベルや外箱にもリサイクル素材を使っています。さらに、1スプール購入されるごとに1本の木を植えるカーボンオフセットプログラムも実施中です。マットな質感の仕上がりが美しく、使い勝手も良好です。
colorFabb allPHA
オランダのcolorFabbが開発したバイオフィラメントで、あらゆる生物環境で100%生分解されるとうたっています。分解後にマイクロプラスチックを残さないため、環境への影響を最小限に抑えられます。試作品や、一時的な使用を想定したプロジェクトに最適な素材です。
GSIクレオス ソフトナチュラルフィラメント
日本のGSIクレオスが販売する生分解性フィラメントで、イタリアのNovamont社が開発した生分解性樹脂「Mater-Bi(マタビー)」を使っています。化学物質基準A判定を取得しているので、安全性の面でも信頼できる製品です。柔軟性があり、しなやかな造形物を作れます。
海洋プラスチック・廃棄物由来のフィラメント — ゴミを資源に変える
近年とくに注目されているのが、海洋プラスチックや廃棄物から作ったフィラメントです。環境問題の解決と3Dプリンティングの可能性の両方を目指す取り組みが、世界中で進んでいます。
Refil(オランダ)
ロッテルダムのスタートアップRefilは、廃棄プラスチックから3Dプリンター用フィラメントを作っている会社です。自動車のダッシュボードや冷蔵庫のパーツなど、さまざまな廃棄物を原料に、ABS・PET・HIPSなど複数の素材をそろえています。
The New Raw — ゴーストネットの再生
ロッテルダムのデザインスタジオThe New Rawは、海に捨てられた漁網(ゴーストネット)を回収し、3Dプリント用の素材に再生するプロジェクトを進めています。回収した漁網は選別・洗浄・粉砕を経てペレットになり、大型3Dプリンターで公園のベンチや都市設備に作り変えられます。
キヤノンエコロジーインダストリー
日本のキヤノングループでは、使用済みキヤノン製品のプラスチックパーツを回収・リサイクルし、3Dプリンター用フィラメントとして再生しています。製品のライフサイクル全体で資源を循環させる、国内メーカーならではの取り組みです。
エコ素材フィラメントの選び方と比較ポイント
環境にやさしいフィラメントを選ぶときは、以下のポイントを確認しましょう。
- 原料の由来:リサイクルPET、バイオPLA、海洋プラスチックなど、何を原料としているかを確認
- 造形品質:リサイクル素材でもバージン素材と遜色ない品質の製品が増えていますが、メーカーの実績や口コミを参考に
- 造形温度:リサイクルPET系は220〜250℃、PLA系は190〜220℃が一般的。お手持ちのプリンターの対応範囲を確認しましょう
- 生分解性の有無:allPHAのように完全生分解性の素材もあれば、リサイクルPETのように生分解しないが資源循環に貢献する素材もあります
- 入手しやすさ:国内ではPolymaker PolyTerra PLAやGSIクレオス製品がオンラインショップで購入しやすく、海外ブランドはid.artsや3DFS経由で入手可能です
- パッケージの環境配慮:スプールやパッケージにリサイクル素材を使っているかも、大事なチェックポイントです
よくある質問
リサイクルフィラメントはバージン素材と比べて品質が劣りますか?
近年のリサイクルフィラメントは精製技術が上がっていて、BASF Ultrafuse rPETやB-Petなどはバージン素材に引けを取らない造形品質です。ただし製品によって差があるため、信頼できるメーカーのものを選ぶことをおすすめします。
バイオPLAは通常のPLAプリンターでそのまま使えますか?
はい。PolyTerra PLAなど多くのバイオPLA製品は、通常のPLAと同じ造形温度(190〜220℃)で使えます。特別な設定を変えなくても、お手持ちのFDMプリンターで造形できるのが利点です。
生分解性フィラメントで作った造形物は、すぐに分解されてしまいますか?
通常の室内環境では分解は非常にゆっくり進むため、日常使いの造形物が短期間で劣化する心配はありません。生分解が早く進むのは、工業用コンポスト施設のような高温多湿の特定条件下です。
海洋プラスチック由来のフィラメントはどこで購入できますか?
日本国内では、id.artsが運営する3DFSオンラインストアでRefil製品を扱っています。海外の公式サイトから直接買うこともできますが、送料や納期を事前に確認しましょう。



