
Bambu Lab H2C vs Prusa CORE One INDX — 2026年マルチツール対決を徹底比較
2025年11月のFormnext以降、デスクトップ3Dプリンターのマルチマテリアル技術が大きく動きました。Bambu Labは独自のVortek Hotend Change Systemを搭載した「H2C」を発売し、PrusaはBondtechと共同開発した「INDX」ツールチェンジャーを発表しています。どちらもパージタワーを減らし、複数の素材や色を効率よく使える次世代機です。この記事では、価格・機能・拡張性・廃棄物削減の4つの視点から、2026年のマルチマテリアル印刷をリードする2つのシステムを比較します。
基本アーキテクチャの違い — ホットエンド交換 vs ツールチェンジャー
まず押さえておきたいのが、両者の根本的な設計の考え方の違いです。
Bambu Lab H2Cは「ホットエンド交換」方式です。プリントヘッドには左右2本のノズルがあり、左側は従来型の固定ホットエンド、右側がVortekシステムに対応したインダクション加熱ホットエンドになっています。Vortekラックには最大6本のホットエンドをセットでき、右側ノズルと合わせると、同時に使える素材は最大7つです。さらにAMS(Automatic Material System)を並列接続すれば、最大24種類のフィラメントに対応します。
一方、Prusa CORE One INDXは、Bondtechと共同開発した「ツールチェンジャー」方式を採っています。1つの「スマートツールヘッド」(エクストルーダー+モーター内蔵)が、ノズルとヒートブレイクだけでできた軽量な「パッシブツール」を自動で付け替える仕組みです。パッシブツールは1本わずか約10gと非常に軽く、4ツール構成から最大8ツールまで増やせます。各ツールにフィラメントが直結するため、AMSのようなシステムは要りません。
スペック比較表 — 数値で見る両者の実力
| 項目 | Bambu Lab H2C | Prusa CORE One + INDX |
|---|---|---|
| 最大造形サイズ | 330 × 320 × 325 mm(デュアルノズル時) | 250 × 210 × 220 mm(CORE One基準) |
| 最大印刷速度 | 1,000 mm/s | 600 mm/s(CORE One+基準) |
| 最大ノズル温度 | 350°C(全7ノズル) | 300°C以上 |
| チャンバー温度 | 65°C(全面加熱) | 非加熱(エンクロージャ付きで約50°C) |
| 同時使用素材数 | 最大7(AMS接続で24) | 最大8 |
| ツール交換時間 | 約8秒(インダクション加熱) | 約16秒 |
| カメラ | 4台(マクロレンズ+BirdsEye含む) | 1台(CORE One標準) |
| 空気清浄 | G3 + H12 HEPA + 活性炭 | 活性炭フィルター(オプション) |
造形サイズと速度ではH2Cが大きくリードしています。一方のINDXは、CORE Oneのコンパクトな筐体のまま8素材に対応していて、デスクトップサイズで効率よくマルチマテリアル印刷ができます。
価格とコストパフォーマンス — 初期投資と拡張コスト
以下は2026年3月時点の価格です。
Bambu Lab H2Cは、本体+AMS 2 Proのコンボで2,399ドル(約2,249ユーロ)からです。10Wレーザー付きフルコンボが2,949ドル、40Wレーザー付きが3,599ドルとなっています。プリンター本体・Vortekラック・8本のホットエンド・AMS 2 Proがセットになっていて、箱から出してすぐにマルチマテリアル印刷を始められます。
Prusa CORE One + INDXは、まずベースとなるCORE One+本体が約1,199ドル(組立済み)。これにINDXアップグレードキットを追加する形で、4ツール構成が499ドル(499ユーロ)、8ツール構成が699ドル(699ユーロ)です。合計は4ツール構成で約1,698ドル、8ツール構成でも約1,898ドルで、H2Cより500〜700ドルほど安く済みます。
追加ツールのランニングコストにも差があります。INDXのパッシブツールは1本約35ドルと非常に安く、H2Cのインダクションホットエンドは高精度な分、交換コストがやや高めです。すでにCORE Oneを持っている方なら、INDXキットを買い足すだけで済むのも大きなメリットです。
廃棄物削減 — パージタワーとの戦い
マルチカラー印刷でいちばんの悩みだった「パージタワー(フィラメントの廃棄物)」に、両システムとも正面から取り組んでいます。
H2Cでは、7色以内の印刷ならパージタワーを完全になくせます。各色に専用ホットエンドが割り当てられるため、色替えのたびにノズル内のフィラメントを押し出す必要がないからです。実際のテストでは、同じモデルを従来機のH2Dで印刷すると23時間30分・廃棄物279gだったのに対し、H2Cでは11時間13分・廃棄物ほぼゼロだったという報告があります。ただし、ノズル先端にわずかに残ったフィラメントを処理する「ミニパージ」は依然として必要です。
INDXも同じく、各ツールが専用のフィラメント経路を持つので、パージ廃棄物をほぼゼロにできます。ツールチェンジャー方式ならではの利点として、異なるノズル径(0.2mmと0.6mmなど)を同時に使い分けられるので、細部の精密な造形と広い面の高速な充填を一つのプリントで両立できます。
どちらを選ぶべきか — ユースケース別おすすめ
それぞれのシステムが向いているユーザー像を整理します。
Bambu Lab H2Cが向いているのは、次のような方です。
- オールインワンで届いたらすぐ使いたい方
- 大きな造形サイズ(330mm級)が必要な方
- 高速印刷(1,000 mm/s)で生産性を重視する方
- 加熱チャンバーでエンジニアリング素材(PA・PC・PPS)を多用する方
- レーザー加工も1台でこなしたい方
Prusa CORE One + INDXは、次のような方に向いています。
- 初期投資をできるだけ抑えたい方
- すでにCORE Oneを持っていてアップグレードしたい方
- 異なるノズル径を混在させた柔軟なプリントをしたい方
- オープンソースの理念やリペアのしやすさを重視する方
- 段階的にツール数を増やしていきたい方(4→8拡張)
価格を最優先するならPrusa INDX、性能と使い勝手の総合力で選ぶならBambu Lab H2C、というのが2026年3月時点での結論です。ただし、INDXはまだ出荷が始まったばかりの段階なので、ファームウェアの成熟度やコミュニティの実績ではH2Cに一日の長があります。
よくある質問
Bambu Lab H2Cはアメリカで購入できますか?
はい。2026年1月14日に米国でも正式に発売されました。Bambu Lab USストアから直接購入でき、価格はAMS 2 Proコンボで2,399ドルからです。当初は関税の影響で発売が遅れましたが、現在は通常通り購入できます。
INDXはCORE One以外のプリンターにも使えますか?
2026年3月時点では、INDXはPrusa CORE One / CORE One+専用です。CORE One Lへの対応も検討されていますが、公式な発売時期は決まっていません。購入はBondtechの公式サイトか、Prusaのeショップからできます。
パージタワーは本当にゼロになりますか?
H2Cは7色以内ならパージタワーが要りませんが、ノズル先端に残ったわずかなフィラメントの処理(ミニパージ)は出ます。INDXもツール交換方式のため大幅に減らせますが、完全にゼロとは言い切れません。従来のAMS方式と比べた廃棄物の削減率は、両者とも90%以上です。
H2Cの既存ユーザー(H2D・H2S)はアップグレードできますか?
Bambu Labは「Vortekアップグレードキット」を2026年前半に発売する予定としています。ただし、アップグレード作業はかなり複雑なため、公式にはH2Cを新しく購入することが推奨されています。
参考リンク
- Bambu Lab H2C — 公式ストア — Bambu Lab
- Introducing the INDX — CORE One専用8素材印刷 — Prusa Research公式ブログ
- INDX By Bondtech — ツールチェンジャーソリューション — Bondtech
- Bambu Lab H2C review — Tom's Hardware
- Prusa Research and Bondtech unveil INDX at Formnext 2025 — 3D Printing Industry



