
3Dプリンターで始める小ロット販売の教科書|BASEとSTORESで自作グッズを売るための準備と注意点
3Dプリンターで作ったグッズを売りたいけれど、メルカリやヤフオクのフリマ出品では「自分のブランド」を打ち出しにくい。そんなときに選択肢になるのが、初期費用ゼロで自分だけのネットショップを開けるBASEとSTORESです。この記事では、ショップ開設から商品登録、発送、法的な注意点まで、3Dプリント製品の販売手順をひと通り解説します。
BASEとSTORESの違いを押さえる
BASEとSTORESはどちらも無料プランがあり、個人でも月額0円からネットショップを持てます。大きな違いは手数料の体系です。BASEのスタンダードプランは決済手数料3.6%+40円にサービス利用料3%がかかり、合計で約6.6%+40円が1回の売上から差し引かれます。STORESのフリープランは決済手数料5.5%のみで、サービス利用料はありません。月商が数万円程度なら、1件あたりの手数料率はSTORESのほうがやや低くなるケースが多いでしょう。
機能面を見ると、BASEにはInstagram連携やクーポン発行、定期便といった拡張アプリがそろっています。STORESには予約販売やデジタルコンテンツ販売が標準で備わっており、実店舗向けのPOSレジ連携にも対応しています。3Dプリント製品は受注生産になることが多いものの、どちらのプラットフォームでも「注文後に造形して発送」という運用が可能です。販売スタイルに合うほうを選んでみてください。
ショップ開設から商品登録までの手順
BASEの場合、メールアドレスとパスワードを登録してショップURLを決めるだけで開設は完了します。STORESも同様で、アカウント作成後にショップ名とURLを設定すれば即日で公開できるため、どちらも10〜15分ほどで始められます。
商品登録の画面で入力するのは写真、商品名、説明文、価格、在庫数の5項目です。3Dプリント製品で注意したいのは写真の撮り方でしょう。積層痕やサポート跡がどの程度あるのか、サイズ感が伝わるように定規やコインなどと並べた写真を掲載しておくと、購入後のトラブルを防ぎやすくなります。説明文には使用素材(PLAやABSなどのフィラメント種別)、おおよそのサイズ、耐熱温度の目安を書き、食品に触れる用途には使えない旨も明記しておきましょう。
在庫管理のやり方は大きく2つに分かれます。あらかじめ造形した在庫を用意しておく「在庫販売」と、注文を受けてから造形する「受注生産」です。受注生産を選ぶ場合は、商品説明に「ご注文後○日以内に発送」と納期を書き、ショップの配送設定にも同じ日数を反映させてください。
発送方法と梱包のポイント
3Dプリント製品は中空構造や細い突起があると、配送中の衝撃で折れたり割れたりすることがあります。緩衝材(プチプチ)で全体を包み、箱の中で動かないように隙間を紙や緩衝材で埋めるのが基本です。
小さい製品であれば、ネコポスやゆうパケットなど厚さ3cm以内のメール便で送料を抑えられるでしょう。BASEでは「かんたん発送」アプリを追加するとヤマト運輸や日本郵便の割引配送を利用でき、STORESでも配送方法の設定画面から各種サービスを選べます。なお、BASEとSTORESは個人出品者向けに特定商取引法の住所・電話番号を非公開にする機能も備えています。自宅住所を購入者に知られたくない場合は、この機能を有効にしたうえで匿名配送を利用するとよいでしょう。
法的な注意点を確認する
3Dプリント製品をネットショップで販売する場合、製造物責任法(PL法)の対象になります。PL法は、製品の欠陥が原因で利用者の身体や財産に損害が生じたとき、製造者に賠償責任を課す法律です。個人の副業規模であっても、自分が造形した製品を売れば「製造者」に該当します。
PL法上の欠陥は「設計上の欠陥」「製造上の欠陥」「指示・警告上の欠陥」の3種類です。3Dプリント製品で特に気をつけたいのは、素材の安全性と用途の明示でしょう。たとえばFDM方式で造形したPLA製のコップを食器として売ると、積層の隙間に雑菌が繁殖する可能性や、フィラメントに含まれる添加物の食品安全性が問題になりえます。食品に触れる製品やアクセサリーなど肌に直接触れるものを扱う場合は、素材の安全データシート(SDS)を確認し、商品説明に使用上の注意を書いてください。
事故が起きた場合に備え、PL保険への加入も検討する価値があります。商工会議所や各種保険会社が個人事業主向けのPL保険を提供しており、年間数千円から入れるものもあります。加えて、他者のキャラクターやブランドのロゴを模した製品は著作権・商標権の侵害にあたるため、販売はもちろん造形自体を避けてください。
売れるショップにするためのヒント
BASEやSTORESは、メルカリと違ってプラットフォーム自体の集客力が限られています。ショップを開いただけでは検索エンジンからの流入もほとんど見込めないため、SNSとの連携が集客の基本になります。X(旧Twitter)やInstagramで造形過程の写真や動画を投稿し、プロフィール欄にショップのURLを載せましょう。完成品の写真だけでなく、3Dモデリング画面やプリント中のタイムラプス動画を見せると、ものづくりの過程が伝わって興味を引きやすくなります。
価格設定では、材料費(フィラメント代)、電気代、造形時間あたりの人件費、梱包資材と送料の実費に加え、プラットフォームの手数料を上乗せした金額を最低ラインにしてください。相場を知るには、同ジャンルの製品をBASEやSTORES、minneなどで検索して比べるのが手早い方法です。安すぎる価格は利益が出ないだけでなく品質への不安にもつながるため、適正価格の見極めが大切です。
よくある質問
BASEとSTORES、どちらを選ぶべきですか?
月商が小さいうちはSTORESのフリープラン(手数料5.5%)のほうが1件あたりのコストを抑えやすいでしょう。Instagram連携やクーポン機能を重視するならBASEが向いています。どちらも無料で開設できるので、試してから決めても問題ありません。
3Dプリント製品を食器として販売できますか?
FDM方式の造形品は積層の隙間に汚れや菌がたまりやすく、フィラメントの食品安全性も保証されていない場合が多いため、食器としての販売は避けるのが無難です。食品接触用途にはFDA認証を取得した素材を使い、商品説明にその旨を明記してください。
特定商取引法の表記で自宅住所を公開したくない場合はどうすればよいですか?
BASEとSTORESはどちらも、個人出品者向けに住所・電話番号の非公開機能を用意しています。設定画面から有効にすると、特商法ページにはプラットフォーム運営元の所在地が表示されます。
PL保険には入ったほうがよいですか?
製品の用途や販売数にもよるものの、身体に触れる製品や子ども向けの製品を扱うなら加入をおすすめします。商工会議所のPL保険は年間数千円から入ることができ、万一の賠償に備えられるでしょう。
参考リンク
- BASEの料金プラン・手数料について(BASE U)
- STORESの特商法非公開設定について(STORES公式FAQ)
- 製造物責任法の概要Q&A(消費者庁)
- 3Dプリント品販売とPL保険のススメ(note)



