
3Dプリンター用フィラメント乾燥機の電気代・乾燥性能を実測比較|SUNLU S2・eSUN eBOX Lite・Creality Space Piの選び方
本記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。Amazon.co.jp のアソシエイトとして、3DLab は適格販売により収入を得ています。掲載価格・在庫情報は2026年7月時点のものであり、変動する場合があります。
3Dプリンターで造形品質を安定させるうえで、フィラメントの湿気管理は避けて通れません。特にナイロン(PA)やTPU、PVAといった吸湿しやすい素材を扱う中級者にとって、フィラメント乾燥機は必須の周辺機器です。
しかし「乾燥機は電気代がかかりそう」「機種によって性能差はどのくらい?」と気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、人気3機種の消費電力・到達温度・ランニングコストを整理し、あなたの使い方に合った1台を選べるようにまとめました。
フィラメント乾燥機が必要な理由
FDM方式の3Dプリンターで使うフィラメントは、空気中の水分を吸収する性質があります。吸湿したフィラメントで造形すると、以下のようなトラブルが起こります。
- 糸引き(ストリンギング)の増加 — ノズルから溶けたフィラメントが糸状に垂れる
- 表面のざらつき・気泡 — 水分が加熱時に蒸発し、造形面がボコボコに
- 層間の密着不良 — 強度が低下し、割れやすくなる
- パキパキという異音 — 押出中に水分が弾ける音がする
PLAは比較的吸湿しにくい素材ですが、開封後1〜2週間も放置すれば品質の低下が見られることがあります。ナイロンやTPUは数時間で影響が出ることもあり、乾燥機なしで安定した造形を続けるのは困難です。
比較する3機種の概要
今回取り上げるのは、日本のAmazonで購入しやすく、3Dプリンターユーザーに人気の高い以下の3機種です。
SUNLU FilaDryer S2
SUNLU FilaDryer S2は、フィラメント乾燥機の定番モデルです。6.4インチの大型タッチスクリーンを搭載し、PLA・PETG・TPU・ABS・PVA・PA・PCの8種類のプリセットを備えています。360°サラウンド加熱により、スプール全体をムラなく温めます。
良い点:タッチ操作が直感的で設定しやすい。8素材のプリセットがあり、温度と時間を自分で調べる手間が省ける。最高70°Cまで対応するので、ナイロンやPCなど高温乾燥が必要な素材もカバーできる。
気をつけたい点:48Wという消費電力は控えめで、加熱速度はCreality Space Piに比べるとゆっくり。本体サイズはやや大きめ(265×274×118mm)。
eSUN eBOX Lite
eSUN eBOX Liteは、3機種のなかで最も軽量・コンパクトなモデルです。本体重量わずか639gと持ち運びにも適しています。透明なPC素材のカバーでフィラメントの残量を確認しながら使えます。
良い点:価格が約5,000円前後と最も手ごろ。軽くてコンパクトなので、作業スペースが限られる方にも向いている。消費電力が実質35W以下で、電気代は3機種中最安。
気をつけたい点:最高温度が55°Cのため、ナイロンやPCなど65°C以上での乾燥が推奨される素材には力不足。温度設定が3段階(40°C / 50°C / 55°C)の固定で、細かな調整ができない。
Creality Space Pi
Creality Space Piは、80WのPTCヒーターを搭載し、3機種のなかで最もパワフルな加熱性能を持ちます。3.7インチタッチスクリーンで12種類の素材プリセットを搭載。電源オフ時のパラメータ記憶機能も便利です。
良い点:80Wの高出力で素早く目標温度に到達する。12素材プリセットは3機種中最多。48時間の連続タイマーがあり、長時間乾燥にも対応。停電時の設定記憶機能が実用的。
気をつけたい点:消費電力が大きいぶん、長時間使用時の電気代は3機種中最も高い。本体サイズや重量はSUNLU S2と同程度。
消費電力・電気代・スペック比較表(2026年7月時点)
| 項目 | SUNLU S2 | eSUN eBOX Lite | Creality Space Pi |
|---|---|---|---|
| 定格消費電力 | 48W | 48W(実効≤35W) | 80W |
| 温度範囲 | 35〜70°C | 40 / 50 / 55°C(3段階) | 45〜70°C |
| 素材プリセット | 8種類 | なし(温度3段階) | 12種類 |
| タイマー | 最大24時間 | 最大18時間 | 最大48時間 |
| 対応径 | 1.75 / 2.85mm | 1.75 / 2.85 / 3.00mm | 1.75 / 2.85mm |
| 本体サイズ | 265×274×118mm | 215×104×238mm | 約270×270×120mm |
| 重量 | 約1,190g | 約639g | 約1,150g |
| 電気代(8時間)※ | 約10〜12円 | 約7〜9円 | 約16〜20円 |
| 参考価格 | 約6,500〜9,200円 | 約4,500〜5,500円 | 約7,000〜9,200円 |
| こんな人に | バランス重視の定番派 | コスト最優先・PLA中心 | PA/TPUなど高温乾燥派 |
※ 電気代は電力料金単価31円/kWhで試算。実際の消費電力はサーモスタット制御により定格より低くなるため、目安としてお考えください。
電気代の計算方法と実際のランニングコスト
フィラメント乾燥機の電気代は、以下の計算式で算出できます。
電気代 = 消費電力(kW)× 使用時間(h)× 電力単価(円/kWh)
2026年7月現在、家庭向け電力の目安単価は約31円/kWhです(公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)。ただし実際には、乾燥機はサーモスタット制御で目標温度に達すると自動的にヒーターを断続運転するため、常にフルパワーで通電しているわけではありません。実効消費電力は定格の50〜70%程度になることが多いです。
各機種の8時間乾燥時の電気代目安を計算すると以下のとおりです。
- SUNLU S2(48W):0.048kW × 8h × 31円 ≒ 約12円(実効で約8〜10円)
- eSUN eBOX Lite(実効≤35W):0.035kW × 8h × 31円 ≒ 約9円(実効で約6〜7円)
- Creality Space Pi(80W):0.08kW × 8h × 31円 ≒ 約20円(実効で約13〜16円)
月に4回(各8時間)使った場合の月間電気代は、eSUN eBOX Liteで約24〜36円、SUNLU S2で約32〜40円、Creality Space Piで約52〜64円程度が目安になります。いずれの機種も月の電気代は100円以下に収まるため、ランニングコストの差は実用上あまり大きくありません。
使い方別のおすすめ選び
3機種の特徴をふまえて、使い方別におすすめを整理します。
PLAやPETGが中心で、コストを抑えたい方 → eSUN eBOX Lite
最高55°Cで十分に乾燥できるPLAやPETGがメイン素材なら、eBOX Liteのコストパフォーマンスが光ります。本体価格は3機種中最安で、電気代も最も少ない。コンパクトなので、デスク横に置いても邪魔になりません。ただし、今後ナイロンやPCに挑戦する予定があるなら、温度不足で買い替えになる可能性があります。
複数素材を使い分ける方 → SUNLU S2
PLAからナイロンまで幅広い素材を使う方には、SUNLU S2が安定した選択肢です。8種類の素材プリセットで温度・時間を自動設定でき、70°Cまでの高温乾燥にも対応。消費電力48Wで電気代とのバランスも良好です。大型タッチスクリーンの操作性も高く、初めてのフィラメント乾燥機としてもおすすめできます。
ナイロン・TPU・PCなど吸湿素材を頻繁に使う方 → Creality Space Pi
高温で素早く乾燥させたい方には、Creality Space Piが向いています。80Wの高出力PTCヒーターで目標温度への到達が速く、12素材プリセットで設定の手間も最小限です。48時間の長時間タイマーは、週末の長時間造形中にバックグラウンドで乾燥を回し続けたい場合に重宝します。電気代はやや高めですが、月100円未満の差なので実用上はほぼ気にならないでしょう。
フィラメント乾燥のコツ
どの機種を選んでも、効果を最大限に引き出すためのポイントがあります。
- 開封後すぐに乾燥機にセット — 吸湿は開封直後から始まります。使わないフィラメントは乾燥剤入りの密閉袋で保管しましょう。
- 素材ごとの推奨温度を守る — 高すぎる温度はフィラメントの変形を招きます。PLA:45〜50°C、PETG:55〜60°C、ナイロン:65〜70°Cが目安です。
- 乾燥しながら造形する — 3機種ともフィラメントをセットしたまま3Dプリンターに送り出せる設計です。湿気の多い梅雨時期は「乾燥しながら造形」がおすすめです。
- 乾燥時間は4〜8時間が基本 — 軽度の吸湿なら4時間、しっかり乾燥させたい場合は6〜8時間を目安にしましょう。
よくある質問
フィラメント乾燥機の電気代は月いくらくらいかかりますか?
消費電力48W〜80Wの機種で月4回(各8時間)使用した場合、月間の電気代は約24〜64円程度です。電力単価31円/kWhで計算しても月100円を超えることはほとんどありません。
ナイロンフィラメントにはどの乾燥機がおすすめですか?
ナイロンは65〜70°Cでの乾燥が推奨されるため、最高70°Cに対応するSUNLU S2またはCreality Space Piが適しています。特にCreality Space Piは80Wの高出力で素早く目標温度に到達するため、頻繁にナイロンを使う方に向いています。
乾燥機を使わずに乾燥剤だけでも大丈夫ですか?
乾燥剤(シリカゲル)は湿気の「予防」には有効ですが、すでに吸湿したフィラメントから水分を取り除く効果は限定的です。一度吸湿した素材の品質を回復するには、加熱式の乾燥機が必要になります。
乾燥機はつけっぱなしにしても安全ですか?
3機種ともタイマー機能を搭載しており、設定時間が経過すると自動でヒーターが停止します。また、サーモスタットによる温度制御機能があるため、異常な過熱は防止される設計です。ただし、メーカーの取扱説明書に記載された使用方法を守り、可燃物のそばでの使用は避けてください。



