ブログ一覧に戻る
Anycubic Kobra S1 Combo徹底レビュー|10万円以下でマルチカラー・600mm/s高速印刷を実現した注目機 - 3Dプリンタブログ | 3DLab
3Dプリンター

Anycubic Kobra S1 Combo徹底レビュー|10万円以下でマルチカラー・600mm/s高速印刷を実現した注目機

3DLab
2026年6月12日
0 views

「マルチカラー3Dプリンターが欲しいけど、Bambu Labは高い…」そんな声に応えるように登場したのが、AnycubicのKobra S1 Comboです。ACE Proフィラメント管理システムを同梱し、開封してすぐに4色印刷が楽しめるこのモデルは、2025年の発売以来、コストパフォーマンスの高さで注目を集めています。今回は、スペック・実際の使用感・メリットとデメリットを詳しく見ていきます。

Kobra S1 Comboの主要スペック

Kobra S1 Comboは、Anycubicとして初のCoreXY構造を採用した密閉型FDM 3Dプリンターです。以下が主なスペックです。

項目仕様
造形方式FDM(熱溶解積層方式)
本体構造CoreXY密閉型
造形サイズ250 × 250 × 250 mm
最大印刷速度600 mm/s(推奨300 mm/s)
ノズル最高温度320℃
ヒートベッド最高温度120℃
レイヤー厚0.05〜0.28 mm
エクストルーダーデュアルギア・ダイレクトドライブ
ノズル径0.4 mm(金属クイック着脱式)
マルチカラーACE Pro 1台で最大4色 / 2台で最大8色
オートレベリングLeviQ 3.0
騒音レベル通常時約48 dB / 静音モード約44 dB
ディスプレイ4.3インチ タッチスクリーン
対応フィラメントPLA / PETG / TPU / ABS / ASA
本体重量約18 kg
参考価格(日本)約69,000〜89,999円(2026年6月時点)

CoreXY構造により、ヘッドの移動が軽くなり高速時でもブレが少ないのが特徴です。320℃対応のホットエンドは、ABS・ASAといったエンジニアリング素材にも対応します。

ACE Proで手軽にマルチカラー印刷

Kobra S1 Comboの最大の魅力は、同梱されるACE Pro(Anycubic Color Engine Pro)です。4スロットを備え、色の自動切り替えによるマルチカラー印刷を実現します。ACE Proを2台接続すれば最大8色まで拡張可能です。

ACE Proにはフィラメント乾燥機能が内蔵されており、湿気に弱いフィラメントを印刷中に乾燥させながら使える点も見逃せません。これはBambu LabのAMSにはない独自の利点です。また、フィラメント残量が少なくなると自動でバックアップスプールに切り替わるリフィル機能も備えています。

マルチカラーの設定はAnycubicスライサー上で行います。色ごとにパーツを分けてペイントする操作は、慣れるまで少し手間がかかりますが、プロファイルが用意されているため初心者でも試しやすい設計になっています。

実際に使って感じたメリット

1. 組み立て不要ですぐ使える
Kobra S1 Comboはほぼ組み立て済みの状態で届きます。ACE Proとチューブを接続し、電源を入れれば印刷を始められます。初心者にとってハードルが低い点は大きなメリットです。

2. 静音性が高い
密閉構造とCoreXYの恩恵で、動作音は通常モードでも約48 dBに抑えられています。静音モードでは約44 dBまで下がり、同じ部屋に置いても気にならないレベルです。ただし、ACE Proの乾燥機能を稼働させると騒音が増える点は後述します。

3. 高温ホットエンドで素材の幅が広い
320℃対応のホットエンドにより、PLA・PETGだけでなくABS・ASAでの造形が可能です。密閉型なので庫内温度が安定しやすく、反りやすいABSでも比較的きれいに仕上がります。

4. AIカメラによるモニタリング
内蔵カメラでリモート監視ができ、Anycubicアプリから印刷状況を確認できます。異常検知(スパゲッティ検出)機能も搭載されており、失敗時に自動で印刷を一時停止してくれます。

正直に伝えるデメリットと注意点

コストパフォーマンスの高いKobra S1 Comboですが、購入前に知っておきたい点もあります。

1. マルチカラー印刷時のフィラメント廃棄量が多い
色を切り替えるたびにパージ(ノズル内の残留フィラメントを排出する工程)が必要で、その際に生成されるパージタワーと廃棄フィラメントの量はかなりのものです。海外レビューでは、312gのモデルを印刷するのに730gのフィラメントが支持材・パージタワー・廃棄物として消費された事例が報告されています。スライサー側でパージ量の細かい調整が難しい点もネックです。

2. ACE Pro乾燥時の騒音
本体の静音性は優れていますが、ACE Proの加熱乾燥機能が動作中はファン音が目立ちます。夜間に乾燥しながら長時間印刷を回す場合は気になるかもしれません。

3. スライサーの完成度
Anycubic純正スライサーは、Bambu StudioやPrusaSlicerと比べるとまだ発展途上という声が多いです。プロファイルの最適化が不十分で、デフォルト設定のまま印刷すると速度が速すぎて品質が落ちるケースもあります。設定を追い込めば良い結果が得られるため、ある程度の調整が前提になります。

4. AIカメラの安定性
カメラ接続が不安定になり、アプリから映像が見られなくなることがあるという報告があります。プリンター本体を再起動すれば復旧する場合がほとんどですが、改善を望む声があります。

5. ACE Proの待機電力
プリンター本体の電源を切っても、ACE Proは約6.6Wを消費し続けるため、使わないときはACE Pro側も電源を切る習慣をつけると良いでしょう。

どんな人に向いている?

Kobra S1 Comboは、以下のようなユーザーに特に適しています。

  • マルチカラー印刷を試してみたいが、予算を10万円以下に抑えたい方
  • ABS・ASAなど高温素材も使いたいが、密閉型の高価格帯機は手が出ない方
  • 組み立てに時間をかけたくない初心者〜中級者
  • 静音性を重視し、リビングや自室に置きたい方

一方、パージによるフィラメント廃棄が気になる方や、スライサーの自由度を重視する上級者は、事前にこれらのトレードオフを理解した上で検討することをおすすめします。

よくある質問

Kobra S1 ComboとBambu Lab A1 miniの違いは?

Kobra S1 Comboは密閉型・CoreXY構造・320℃ホットエンドを搭載し、ABS・ASAに対応できる点が強みです。A1 miniはオープン型でPLA中心の使い方に向いています。マルチカラー性能はどちらもACE Pro/AMSで4色対応ですが、高温素材を使うならKobra S1 Comboが有利です。

フィラメントの廃棄量を減らす方法はありますか?

色数を減らす、パージタワーの設定を見直す、色の切り替え回数が少ないデザインを選ぶなどの工夫で軽減できます。スライサーのアップデートで改善される可能性もあるため、公式の更新情報をチェックしましょう。

ACE Proなしの単体(Kobra S1)でも使えますか?

はい、Kobra S1は単体でも高速FDM 3Dプリンターとして使用できます。あとからACE Proを追加してマルチカラー化することも可能です。

TPU(柔軟素材)は使えますか?

ダイレクトドライブ方式のため、TPUにも対応しています。ただしACE Pro経由でのTPU自動供給は推奨されていないため、TPU使用時は直接フィーダーにセットする方法が確実です。

参考リンク

タグ

3DプリンターAnycubicKobra S1 Comboマルチカラーレビュー
3Dプリンター体験